Uberのおかげでサンフランシスコ最大手のタクシー会社が破産したらしい。
タクシー業界はロビイングして政府に、Uberへ規制をしてもらえるよう
お願いしているそうだが業界外のだれもが思うようにこれは無駄な努力である。
イノベーションのジレンマ的な表現をすると、破壊的技術に
よって業界外のプレーヤーUberがなぐりこみをかけ、業界そのものを
破壊してしまった、ということになる。
これをぼくのブランド・ジーン的世界観で説明すると
諸行無常、すべては変化しているから何の不思議もない、となる。
「人をA地点からB地点へ運ぶ」
というブランド・ジーンはタクシーからUberへ移動したのだ。
くだんのUberもまた諸行無常であることを忘れてはならない。
現在のUberの強みは「A地点からB地点への最短移動ビッグ・データ蓄積」
だ。人がサービスするとかいうのは、実のところ副次的なものでしかない。
つまり、無人自動車でこのビッグデータを使えば、ドライバーは不要になる。
自分の職業を「Uberのドライバー」と定義している人はおそらく早晩、失業
してしまうことになる。その意味で、既存のタクシードライバーと変わらない。
しかしそのUberも、「地上におけるA地点からB地点への最短移動ビッグデータ」
だけをブランドの強みと定義すると誤る。
空中浮遊する車ができた途端、その強みは効力を失うからだ。
法整備が追いつかない、ということであれば、道路から5センチだけ浮遊して
走行してもいい。渋滞に巻き込まれたら1メートル浮遊し、前の車列の頭越しに
行けばいい。
あるいは、もういっそのこと4メートル浮遊して、建物の屋根を越えればいい。
そうなると、それまでの
「地上におけるA地点からB地点への最短移動ビッグデータ」
はゴミ箱行きになる。
その「浮遊移動」でなぐりこんでくる新規プレーヤーは流体力学の達人、
ダイソンかもしれないし、遊びが大好きなグーグルかもしれない。
いずれにせよ、「人間の輸送」は、やがてすべてAI搭載のロボットに
なるだろう。
痛ましい事故の報道を見るにつけそう思うし、それが歴史的必然に思えてならない。