1848年、アメリカ西海岸でゴールドラッシュが始まった時、一番儲けたのは

誰か。

結果的に21世紀まで儲け続けているのはリーバイス1社だ。

当時、蒸気船や汽車などの輸送網、カリフォルニアに新しく生まれた産業

(農業)も栄えた。

Wikipediaから拝借しました(パブリックドメイン)

カリフォルニアに向かう船 Wikipediaから拝借しました(パブリックドメイン)

もちろん、宿泊業も儲けただろう。「ゴールドラッシュの歩き方・カリフォルニア編」

なんていう地図つきのムック本を出した連中もいたかもしれない。

何が言いたいかというと、「ゴールドを求めてやってきた人たちで儲け続けている

人はいない」ということだ。

つまり、ここでも、次の法則があてはまることが立証されたわけだ。

何かで儲けたければ、その何かで儲けようと思っている人向けに商売するのが

一番儲かる」法則である。

2000年ごろ、

「インターネットで儲けたければ、インターネットで儲けたいと思っている人向けに

ビジネスすれば儲かる」

という話をしていた。先輩コンサルタントの森行生さんにインスパイアされて。

同じことが、いまも言える。

フェースブックで儲けたければ、フェースブックで儲けたいと思っている人向けに

ビジネスすれば儲かる

iPad2で儲けたければ、iPad2で儲けたいと思っている人向けに

ビジネスすれば儲かる

考えてみれば、本田宗一郎も、松下幸之助も、湯川秀樹も、フェースブックやら

Twitterやらタブレット端末やらは使っていない。

もちろん、技術の進歩の恩恵を受けることに何ら異論はない。

ぼくが新製品や新サービスを利用するかどうか決定する基準は、

それを使うことで時間が節約できるなら、迷いなく、「買い」

というものだ。

だから、今週、MacBook Proを買った。

ぼくたち凡人は、本田さんや松下さん、湯川さんのような天才たちと

並ぶほどの仕事をするためには、使えるツールはどんどん使おう、

という発想も賛成だ。

しかし。

本末転倒の話が、ここのところ、多い気がする。

毎年毎年、新型iPadやiPhoneを出されても、買う理由が見当たらない。

また、「仕事の効率化」のためのアプリをダウンロードして、

そのアプリの使い方を勉強するのに時間をかける、

というのも、そのエネルギーを仕事そのものにかけたほうが

いいんじゃないか? と素直に思ってしまう。

ちょっと話がそれるが、テレビ。

テレビのデジタル化なんていう話、あれはどう考えても一種の増税だ。

新しいテレビと設備を導入するお金がない人は、テレビ見るな、という

ことでしょ? デジタル化で、誰がトクをするのか、考えてみれば、

家電メーカーと販売店である。

テレビ局は、アナログ放送をまだ見ている視聴者にいやがらせのように

「早くデジタル化せい! はよせい! いますぐせい!」

とテロップ流す。そのくせコマーシャルになったら一切流さない。

一体だれを向いて商売しているのか、と思う。明らかに、スポンサー企業

しか向いていない。

だんだん書き始めた時から論点がずれてきた(笑)。

要するに、

踊らされるのを、やめよう

ということです。

要らないものは、買わない。

なくてもちっとも困らないのに、まわりが持っているから、自分は遅れているの

ではないか、なんて思わなくていい。

ということですね。

なんていいながら、きっとiPad2、買っちゃうんだろうなあ。

瀕死の病床にありながら、自分ちの新商品の宣伝のためには

ステージに上がって、しかもよそ様の商品の悪口まで言う

姿に、幽鬼のような「業の深さ」を感じ、なんだかなあ、と

思ったりもしたのに。

彼一人の動向で株価が上がったり下がったりして、あの会社、

人が育ってないよなあ、とかも思ったりしたのに。

それでもマックブックやiPad2買っちゃう。

どうしてなんだろうね、この気持ち。