上海の、とある半導体製造工場の建屋内部は

ガラガラに空いているらしい。

半導体市場は動きが速い。

動きに合わせて設備更新や新ラインを素早く作らないといけない。

だから空けてある。

日本人の製造業常識からすれば「ムダ」「もったいない」

となるが、彼らは「時間を金で買う」発想らしい。

市場変化の速度が速いのなら、空間が要る。

これがぎゅうぎゅうに詰まっていたら、

「これを動かして、それをこっちへ持ってきて空間作ろう」

となる。

「いやそれは困る。うちも納期が厳しいからラインを止めるわけには」

「こっちこそ困る」

とかなんとかやっているうちに市場がまた変化し、昨日までは商機だった

ものが今日は跡形もなく消えてしまっている。

ぼくが所有を捨てる、というとき、スケジュールも含む。

オフィスの空間も含む。

スケジュールがパンパンに詰まっていたら、いざというとき

動けない。

台北で面白いことやってると聞いて、

「じゃ、明日、台北飛ぶわ」

にならない。

チャンスをつかむためにも、所有は捨てる必要がある。