仕事で使いたいので、古い画像を探していたら、古いファイルが

出てきて、メルマガSurfin’のバックナンバーだった。

1995年のものだから、創刊したての頃の、ごく初期に書いた

号で、何と! この前台湾へ一緒に行った酒井さんが出てくる!

当時から中国人になるのが好きだったんだなあ、とわかるので、

ここに紹介します。

Surfin’のバックナンバー、中には面白いものもあるので、

記録の意味も兼ねて、「SurfBack」カテゴリーで時々紹介しますね。

Here we go!

銀座銀座銀座銀座銀座 from:

電脳市場本舗

Marketing Surfin’95

Copyright (c) 1995 by Keiichi Sakamoto/Palmtree Corp. Inc.

All rights reserved

Today’s Menu is;

25.Mr. Chen’s Ginza-night in Tokyo , Japan.

そうね、ミニははいてくるように言われるわ。

自前よ。店でもスーツは用意してくれて、タダで借りることも

できるんだけど。これ、店によっては500円とか、「借り賃」取る

ところもある。

時給3000円。ここ(銀座)のもっと高級な店にいけば5000円は

貰えるけど、うるさいママやちいママがいたりして大変でしょ?

やれ毎日美容院に行けだの毎日服は変えろだの、言うとおりやって

たら、いくら貰ったって、もたないわ。美容院も、1回行ったら3000円、

服も1万ってわけにいかないでしょ。最低5万。たまらないわよ。

ここは月曜から金曜まで、一日6時間週5日働いて3000×6×5=90000円。

360000円。悪くないでしょ。ただしこれはレギュラー勤務の場合ね。

バイトだと、全然、安くなる。

 

僕は現在、銀座の「R’s CAFE」という店に、いる。

同期の(仮称)逆意君、後輩の(仮称)缶乃君、代理店の(仮称)那珂川

さんと一緒だ。わしらはさっきまで、神宮球場に、いた。日本シリーズ

最終戦の、オリックスの最期を、球場の外(いくら交渉しても、入れん

かった。ちょびっとだけ、見せて、と、いくら頼んでもあかんかった)

から同じく外にいたおねえちゃんが持っていた液晶テレビで応援して

おったのだ。わしらが酒場からタクシーで駆けつけた時は既に9回表。

R’s CAFE」は、高級クラブとキャバクラの間を埋める、全く新しい

コンセプトの店で、店名のサブにも、「NEO STYLE CLUB」とある。

キタの帝王のわしとミナミの帝王那珂川さんも保証する、斬新な企画である。

大阪には、このテの店はまだ、ない。

座るとずらーっと客一人に一人の割で、女の子が、つく。女の子は

本当に、全員、若い。平均年齢19歳。店は広く、女の子は40人、

毎日出ている。登録している子の数は、1500人とのこと。

 

わたし、「短期決戦」型なのよ。ここに来たのがこの8月だし、

11月には、昼の会社に入社が決まっているから(3か月×36=108

稼いで、辞めるわけだ)。 前は、トヨタにいたの。あそこ、でか

すぎて、面白くないのよね。経営陣はみんな豊田さんの親戚だし。

下が全然育ってない。仕事、つまらないから、辞めちゃった。

次に行くところは、まだ小さな旅行代理店なんだけど、株主にニコニコ

海苔、知ってる? うん、あのニコニコ海苔とか、結構有名なところ

が入ってるし、まだ資本金1億位なんだけど、経営者のひと、しっかり

している感じだし。前に貰っていたお給料と同額の17万位はくれるって

言うし。

この店は、新しいコンセプトだと思うわ。女の子にとって、楽だし。

10分か、15分で他の席に行くように指示(阪本注;フロアには黒服の

にいちゃんがうろうろし、全体のバランスを見たり、飲み物の注文や

デリバリーをしてくれる)くれるから、ほら、話題に困らないでしょ。

お客さんも、わたしたちも。それに、次々と女の子が「チェンジ」でき

るわけだし。わたしたちもいいのよ。別にエッチなことするわけでも、

ないし(阪本注;そうなのだ。ただ、お話をするだけなのだ)。

 

その頃(仮称)逆意君は、大阪勤務中、ミナミにてあみだしたという、

Mr. Chen」の芸をやって、女の子をからかっていた。

これは、要するに、「東京駐在中の香港人ビジネスマンで、英語しか

話せず、ニホンゴ、チョットダケネ」という設定のもと、徹底的に

女の子を騙す、というやつである。書いていて、あまりのくだらなさ

に、つい気持ちが沈んでしまうが……..。どちらかというと僕風の芸だ。

 

Mr.Chen, 16 years  after

Mr.Chen, 16 years after

 

 

結局わしらは、その夜、10時から、看板の2時までいてしもうた。

Mr. Chenは、最後まで、Mr. Chenのままであった。女の子たち、

「こういう外人のフリするひと、よくいるのよねー」とか言いながら、

僕たちのサポートよろしきを得て、Mr. Chenはバレずに済んだ。

 

今さら若い女の子といちゃいちゃする気など、毛頭ないわしは、

京都出身の「えいこ」さんにじっくり取材させてもろうた。

それにしても女の子の質の高さには、驚く。「美羽(みう)」さん

は、イギリス留学経験があり、Mr. Chenにも時々理解不能なキングス・

イングリッシュぺらぺらだし、「はるひ」さんは住友銀行出身で、

12の資格を持つ。英検3級、珠算1級、簿記、秘書検定、などなど。

 

ここで店のパンフレットを見てみよう。

 

銀座で大ヒット営業中の秘密はこれだ!

1. 銀座で最大級のお店の広さ、そして低料金だなんて、それだけで

もびっくり

2. しかも働いている女性スタッフの初々しさは銀座で1番、平均年齢

19才!

3. にもかかわらず在籍250名(阪本注;原文のママ。現在は前述の

通り1500名)という涙の出る程のうれしさ、なんと8割は学生、

OL(この言葉に何度騙されたことか。でも、今度だけは本当だ)。

4. だけじゃなくて、毎月のセクシーイベントはあなたの好奇心も

大満足。

5. さらに、R’sカフェ初体験のあなたには50OFFのプレゼントチケット

!!

 

ここの経営者は、素晴しいMarketerだ。まず雇用の面。

女性の就職難をうまく利用しているし、仮に就職していてもつまらん仕事

を安い給料でさせられている日本のOLの不満をすくい上げる形になっている。

うはうは店で喜んでいるサラリーマン諸氏より、よほど稼ぎがいいのだから。

次にCSの面。若い女の子が入れ替わり立ち替わり隣に座ってくれる。

これが女の子にとっても、客にとっても、メリットがあるのは先程の

「えいこ」さんの話にあるとおり。

 

さてここで、銀座のクラブとキャバクラの原価についての資料が入手

できたので、ご披露しよう(「定価の構造」内村 敬、ダイヤモンド社、

1995)。

 

クラブの場合;月の総売上700万円、総支出530万円。

総売上高に占める支出と利益の割合は、

 

飲食仕入れ原価200万円/対売上高比率28.6%。以下同。

ホステスの人件費200万円/28.6

利益170万円/24.3

テナント料80万円/11.4

その他(男性スタッフ人件費、水道・光熱費、採用費用など)50万円/7.1

 

キャバクラの場合;月の総売上2400万円、総支出1710万円。

総売上高に占める支出と利益の割合は、

 

飲食仕入れ原価360万円/対売上高比率15.0

ホステスの人件費960万円/40.0

利益690万円/28.7

テナント料150万円/6.3

その他(男性スタッフ人件費、水道・光熱費、採用費用など)240万円/10.0

 

R’s CAFE」は、この中間にあたると思われる。

 

さて、看板になり、おにいさんがしずしずとひざまずき、Mr. Chenに差し出した

請求書。Mr. Chenが僕を手招きする。

このときばかりは日本語の凍える小声で、「半分、無理か」

 

Thanks a lot for your reading.

See you nextweek.