大友博さんのクラプトンの評伝『エリック・クラプトン』(光文社新書)が

とてもいい。

大友さん自身がクラプトンの音一つひとつを人生の栄養にして生きてきて、

cliche(陳腐な言い回し)でよく言われる「ギターの神様」的なとらえかたを一切

せず、しっかりした距離感をもって、クラプトンの人生と音に向き合っているから

だろう。

この本の中でクラプトン自身の言葉が紹介されていて、

mental jukebox(メンタルジュークボックス)。

人生の旅を通して耳にしてきた音の断片のようなものを指して表現している。

そしてそれらの音とともに生き、人生に起こるさまざまな「事件」のフィルターを

くぐった時に自分の音としてどう表現するか。

クラプトンはオリジナルもすばらしいが、ブルースの古い曲やほかのアーティスト

の曲をカバーしているのもすっごくすばらしい。

mental jukeboxのなせるわざだろう。

mental jukeboxが、クラプトンの変化し続ける人生を根底で支えていたのだ。

そう考えると、だれにもmental jukeboxはあると思う。

カーペンターズの大ヒット曲『Yesterday Once More』の歌詞も確か自分の

お気に入りの曲についてじゃなかったかな。every shararara, every wowow…

ぼくの場合のmental jukebox、確かに、ある。あるね。

尼崎時代、初めて出会ったビートルズに始まり、ストーンズ、そして永ちゃん。

沢田研二もあるねえ。YMO、エアロスミス、そしてごく最近になっての

ヘビロテ、クラプトン。

自分自身、変化し続ける中で、羅針盤というか、北極星みたいにそこにずっと

いてくれる存在。それがmental jukeboxなのかもしれないね。

そしてそれも、あなたの自分ブランドのカラーを形成する大切な人生の音符たち

だと思います。