気づく力を鍛えるには人間観察が一番。

人間観察が商売の基本だから、毎日やってる。

たとえば、こんなことがあった。

あるレストランで夕食。

2時間制で、90分飲み放題。

食事はビュッフェ、ドリンクはバーへ。

要するにメシもサケも自分で取りに来い、という

なんとも情けない制度なのである。

いつから飲食はこれが当たり前に許される

と勘違いしたのだろうか。

それはともかく。

ほかのテーブル客を観察するのである。

あの男女はつきあってない。

仕事関係。

こちらの男女はちょっとややこしい関係。

このおっさん三人組は阪急沿線の大学の

先生。ナイフとフォークの使い方が慣れてる

からひょっとすると海外経験も豊か?

一人のケータイストラップにスヌーピー。

あれはきっと孫のプレゼント。

と、会社員団体が来た。

7人。

どう見ても会社員である。

しかもゆるめの。

背中の緊張感のなさが、ゆるい。

座る席を見ていると、組織内での

序列がわかる。

テーブルには3、3、そしてお誕生日席が

両端に1席ずつ。

末席のお誕生日席に若い人が

座った。これはまあ、一目でわかる。

しばらくしておっさんがやってきて、

最上席のお誕生日席に座った。

これでこのおっさんの実力がわかる。

たいしたことないのである。

なぜなら、わざとゆっくりして、

最後に座ることにより、

自分のエラさをメンバーに再認識

させたい意図が見えるからである。

そもそも本当にエラい人は

宴会に遅れない。

きっとこのおっさん、名前を仮に

Nとしよう、N部長は料理もドリンクも

自分では取りに行かず、座ったまま

なんだろうなと思って見ていたら

やっぱりそうだった。

末席の若い人含め三人がどうやら

取引先というか下請け会社の

ようで、中の一番年長者が

若い人、仮にYとしよう、

Y君に1万円札を手渡した。

Y君はすでに千円札を2枚

てのひらに持っていたので、

もう一人の下請け会社社員

とその分は自腹で1000円くらいは

負担しているのだろう。

つまり今日のこの宴会は

下請け会社の接待である。

にしては、店のセレクト、間違って

ないかなあ。

このメンバーなら、どう考えても

居酒屋でしょう。

下請け会社の偉いさんが

家族で来て知っていて、

それで予約したのだろうけど

N部長、楽しそうじゃないし、

接待宴会でいちいち料理やドリンクを

取りに席を立つのは合ってない気が

します。

ぼくはこの観察、20メートルくらい離れた

テーブルからしている。

女子ばかりのグループもいて、これはきっと今年

の新入社員同期会。

あの服装のやぼったさはきっと

業種**だろう(各自**を埋めてください)。

4月に入社して、ようやく配属も決まり、

落ち着いたのでみんなで集まりましょう、

という段取りか。

それにしても楽しそうじゃない。

あまり仲良くない、ふだんあまり集まらない、

今日初めてみんなで集まったであろう

ことは、席がなかなか決まらないことで

わかる。

席とは、序列だからだ。

そして、女子の中こそ、序列は後々響く。

各自のキャラもまだ決定していないから

話が盛り上がってない。

・・・とこの盛り上がらない女子同期会と

同時にさっきの下請け接待を見ていたの

だが、新しい気づきがあった。

どうやらくだんの「会社バッヂ外したら

自分では何もできないN部長」、

プロジェクトには加わっていない

けれど、エラいさんを呼ばない

わけにはいかないから

呼ばれた、ようなのである。

そう、この宴会はプロジェクト完成の

お祝いの席のようなのだ。

でもN部長、プロジェクトに入ってないから

みんなと汗感共有できていない。

話に入れない。

それはそれで気の毒な気がする。

それと!

もう一つ重要な発見があった。

メインディッシュはお店の人が

運んで来てくれるのだが、

そのときに、下請けの誰もが

お礼を言ってない。

お店の人に。

つまり、下請け会社も、

自分たちより「下」には

同じ態度、つまり、料理やドリンクを

取りに行かせるメンタリティなのだ。

上下とか、序列とか、

日本経済がまだ幼い

頃の風習であり、

SNSで組織の壁が液状化した

いまはまったくもって不要な

コンセプトなんだけどね。

という感じで、観察しています。

これが、気づく力を鍛える秘訣です。

本文とは全く関係ありません

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