『共感企業』(→)の重要なコンセプトに「ウッフィー」

がある。書いているとき、「ウッフィー」の考えを発明した

SF小説『Down and Out in the Magic Kingdom』

(邦訳は『マジックキングダムで落ちぶれて』)

を読んだ。当時、ウッフィーや近未来の舞台設定は面白いが

小説としてはイマイチだなあ、と思っていたのだが、

必要あって再読したらこれが面白い。

人間は不死を手に入れた。

肉体にガタが来たり病気になったら、「精神」だけを取り出し、

まるで新しいコンピュータにそれまでのデータをインストールする

ように新しい肉体へインストールし、「若返り」可能だ。

あるいは、「ちょっとこの時代、かったるいな」と思ったら、

「デッドヘッド」して、お気に入りの未来まで寝ていればいい。

人間は全員「ハイパーリンク」できる能力を内在していて、

特別な機器を使うことなく、相手の考えを読み取ったりこちらの

考えを伝えたりできる。電話も、ケータイ電話などいらない。

もちろんスマートフォンも、タブレットも、パソコンも、

面倒なプロバイダとの契約もワイファイも不要。

エネルギー問題が解決したから、働く必要がない。

この文章を読んで、「人間が働く本質の動機はエネルギー問題

なんだ」と思い知った。

働かないから、お金は存在しない。

その代わり、「ウッフィー」というものがあって、一目で

その人のウッフィー蓄積数値がわかる。

「あ。このひと、ウッフィー少な!」

「めっちゃウッフィーもってるやん!」

となるわけである。

「ウッフィーは昔の貨幣の本質を表している。もしあなたが破産したとしても、

それでも尊敬を受けることは可能だ。飢え死になんかしない。

ところが、いくらお金を持っていたとしても、人から憎まれていたら、

安全も平和も手にすることは不可能なのである。

友人や隣人から得る個人資産ウッフィーこそが、

あなたの真の『成功』の度合いを測定することができるのだ」(p.14 阪本訳)

さて、資本主義がいよいよ新しいステージへ移行しようとしているいま、

企業や個人の成功のものさしは、「ウッフィー」の蓄積だと思う。

そしてその「ウッフィー」を言い換えれば

「共感」

であり、

「ブランド」

になるのである。