8月1日。

一年で一番好きな日だ。誕生日より、何より。

理由は二つ。

第一に、夏大好きなぼくとしては、「どう悲観的にみても夏ど真ん中(笑)」の日という点。

嬉しいね! 楽しいね! と、はしゃぎ満点の日。

第二に、就活時代、電通に落ちた記念日。

「就職試験に失敗した日が大好き?」

これにはわけがある。

1980年8月1日。この日は、受験した電通の合否発表の日曜日だった。

電通からは、「面接試験に合格した人にだけ、電報で知らせる」と聞いていた。

日曜日。朝から落ち着かない。電報のオートバイの音がしないか、ずっと待っていた。

テレビでは、「アタック25」を児玉清がやっていた。

糸井重里&テリー湯村『情熱のペンギンごはん』(→)という、不思議な傑作大型本を読みながら

ぼくは自分がマスコミに入ったときのことを夢想していた。

筒井康隆が大好きで、なぜか筒井さんのような生活を送るには、マスコミ、しかも電通

に入る必要がある! と思い込んでいた。

電報を待っているこの家。三畳と六畳だけの風呂もない文化住宅。この「下流な」

生活から成り上がれる! そう思っていた。

成り上がるためには、マスコミに入るしかない!

子どもの浅はかな勘違いだね。

結局、電通からは袖にされた。

電通だけではなく、博報堂、朝日放送、読売新聞、大広、テレビ大阪

(開局するので人材募集!だった)など、受験したマスコミすべてに落ちた。

落ちたのが、32年後のいま思えば、良かった。

「なにくそ! ぼくを落としたことを後悔させてやる!」

そう思った。

『パーミション・マーケティング』がベストセラーになり、最初に講演の仕事を

依頼してくれたのが電通だった。

博報堂からもブランド関係で仕事の依頼を受けた。

・・・など、当時落ちた会社全社から、仕事の依頼を受けた。

あの時合格し、電通マンになっていたら、2012年8月1日は、どこで、どう過ごしていただろう?

パラレルワールドにはまったく興味がない。

いまが、最高にハッピーだから。

On every card you receive during your life, you can read the word "YES".

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