良いイノベーションは、新しい関係を発明するものだ。

たとえば、スターバックスは、コーヒーと人間(人類といってもいい)

との新しい関係を発明した。コーヒーそのものをセミオーダーする

メニュー、第三の場所(職場でも家庭でもない)としての店舗。

それが、支持され、ブランド価値になった。

ほぼ毎日「ビールなう!」に励むぼくとしては、大いなる期待を

もって「フローズン生」の飲める店のドアを開けた。昨夜。

玄関に控え、まるで工場製造ラインから出てくる製品を「さばく」ように来客を

さばく感じの悪い店員に出迎えられても「フローズン生」のためにガマンした。

ちなみにあの店は、「来店」と「退店」という最初と最後(あとあじをつくる、とっても

重要な顧客とのタッチポイント)に控える、あのおやじ店員のおかげで、大いなる損を

している。

やがてやってきたフローズン生!

ソフトドリンクのような小さなグラス。450円也。expensive!

ソフトドリンクのような小さなグラス。450円也。expensive!

生ビール愛好家なら納得してもらえると思うが、生ビールはのどで飲む(*)。

そういう「期待」をこっちはもっている。そして、「期待」は「認知」を生む。

これが認知心理学である。マーケティングの鉄則でもある。

「きっとのどごしに新しいうまさがあるんだろう」という「期待」を

もって飲んだ・・・・というより「食べた」。

ビール味のシャーベットである。しかし、生ビールをちびちび「舌で味わう」

人はおそらくいないように、これはまさに「ビールとの新しい関係の発明」だ。

そういう意味で、イノベーションといえる(でも、残念であった。二杯目からは

普通のジョッキに戻った。ホッとした)。

しかし、人間、新しいものには飛びつくわけで、この、接客最低、味普通の店でもにぎわっている

のは、フローズン生のおかげだろう。

しかし、店も、フローズン生も、リピーターが生まれたんだろうか。

 

*スーパードライはのどごしに「辛口」という新しい関係を発明し、それが支持されて

「ドライ」というカテゴリーそのものを作っちゃった。